戦争とプロパガンダ

「あかるいはじまり」で秋田遠征で泊まった時に偶然この番組をやっていて目に入ったのだが、出発準備等もあったりでちゃんと見れずにずっと内容が気になっていた。先日、たまたまテレビを付けたら前編後編、共に再放送をやっていたので視聴した。アメリカの目線から見たドキュメンタリーがメインだったのだが、番組を見ていて戦争がどれほど残酷で恐ろしい物か、そこには明確に映し出されていた。プロパガンダというのは所謂政府広報(宣伝)の事なのだが、金儲けの為の人殺しを自国を守る為の正義に美化して、反論を防ぐ為に国民に見せてはいけない部分を隠して情報操作し、国民に戦争へ全面協力させる為に仕向け、政府の都合のいいように民間人を次々戦争に駆り立てていったという。戦争の道へと向けさせる洗脳ともいえる事を、当時はメディアを使って大体的に行ったというのだ。

 

映像は実際にアメリカ軍のカメラマンが撮影した物だったが、目を覆いたくなるようなかなりショッキングな物が多かった。あそこまで狂える人間が恐くなった。でも、俺は今まで報道される機会のなかったこの映像を見て良かったと思う。非道で残忍な事実が過去に実際にあった事、自分のようにリアルな戦争を知らない世代はやっぱり学んでいかないといけない。しっかり受け止めて考えていかないといけない。過去の悲劇は絶対繰り返してはならないし、これからの世代にもさせてはならない。戦時中をリアルに生きた世代、語り部として下の世代に伝えている方々の年齢も年々高齢化し、少なくなってしまっているのも事実だ。今年亡くなった自分の祖父も当時戦争に駆り出され、戦場で機関銃を来る日も来る日も撃っていた時があったとよく話を聞いた事がある。銃声がうるさく鳴り響く中、周りの人間が次々死んでいくあんな地獄みたいな経験は二度としたくないと。

祖父がもし戦場で命を落として生きて帰って来なかったら、俺も今ここに存在していなかっただろう。そう考えただけでゾッとする。戦争と人殺しは絶対にやったらダメだ。正気な人間じゃなくなる。

 

安保法制の施行、それに伴う集団的自衛権の行使可能が近づく中、本当の国際貢献とは何だろうって思う。国際的協力って一体何だろうな。少なくとも戦争って物に加担して危険な場所に自衛隊を派遣し、支援という名で武力を使って助ける事ではないと自分は考えている。武力は結局建物を破壊し、人々を傷つけ、命を奪う。ただそれだけの物。「やられたらやり返す」という行為を人間は本質的に考えてしまうらしいのだが、それは明らかに間違いだと思う。そんなのは負のループを繰り返して、悲しみと憎しみを生み出すだけ。プラスの流れを創り出していかないといけない。危険な場所を無くす、壊れた建物を復旧させる、傷ついたり困っている人達を助ける。単純だけどそういうのを本当の「貢献」って言うんじゃないのかな。

 

人間には幸い、他人を思いやるという心がある。どんな人間でも必ず。家族、恋人、友達、身近にいる大事な人達。誰かを守る。手を差し伸べる。腐った欲求に呑まれないように、ちょっとした優しい部分が、誰もが少しでも持てて出せるようになれば、この泥沼みたいな世界が少しずつ明るくなっていくんじゃないかって思う。小さな優しさは大きな力になる。優しい人間になりたいよな。

 

=渡部AL弘道=